Apple IIはなぜ小文字をサポートしなかったか?
以下のWebサイトにApple IIが小文字をサポートしていない理由をWozが回答しています。
www.vintagecomputing.comこの記事を大まかにまとめると
- 元々、キーボード入力はApple II用に設計されたものではなく、以前から使ってたものをそのまま流用した。
- 流用したものは低価格だったが大文字しかサポートしていなかった。
- Apple II設計時に小文字のサポートを検討したが開発費がなくて断念した。
となっています。
初期につかわれたキーボード入力用のチップはMM5740で、チップの生産終了後はAY3600に置き換えられました。
このMM5740が低価格だったのは広く使われたテレタイプ端末ASR-33用のもので量産効果が働いたからでしょう。
MM5740自体はノーマル、シフト、コントロール、シフト+コントロールを90キーまで対応していて、小文字をサポートしていないのはチップ内のキー入力をキーコードに変換するテーブルを記述しているROMがノーマルでもシフトでも同じアルファベットのコードを返すからです。
なので小文字をシステムが認識するには小文字に対応したROMを乗せたチップに置き換えるのと共に、すでに作成していたBASIC ROMを小文字に対応する必要がありました。スティーブ・ウォズニアックはBASIC ROMを修正するのに必要な開発用マシンの使用料を捻出できず*諦めたのでした。
※ハンドアセンブルで作成したので修正が困難だっため6502の機械語をアセンブルするコンピュータが必要だった。
Apple IIが広く使われるようになるとプログラミングやワードプロセッサ等の利用で小文字の要求が出てきたため、サードパーティーがとった対策はキーボードのシフトキーのスイッチをマザーボードのGAME I/Oから読めるようにしてキー入力が会った時シフトキーの状態を判別して小文字を認識させました。(80桁ビデオカードなど)
なおApple IIeではキーボードのエンコードとキーデータ用ROMを別にして小文字をサポートしてます。(図の右がエンコード用チップのAY03600,左がROM)